必殺！本郷係長日記

今日は一日限定で「本郷係長」を封印して、「僕」として記事を書いてみようと思う。

小さい頃、僕はウルトラマンになりたかった。
でもいつの日か、怪獣だとか、怪人だとか、魔王になりたいと思うようになった。

性格が捻くれたのか、現実に負けたのか、それは分からないが。
小学校、中学校、高校、大学と進んでいくうちに、確実に「夢」を失っていった。

特に大学に入ってからというもの、
「僕は何でこんなことしているんだろう」とか
「こんなはずじゃなかった」とか頻繁に思うようになった。

大学で大きく成長する人もいれば、どん底まで落ちる人もいるらしい。
僕の場合、限りなく後者に近いと思う。

僕は高校時代、初めの二年間はいわゆる「マジメちゃん」を徹底して演じた。
どうしても大学に進学し、自分の進みたい道に進みたかったし、
なにより「普通」と言われたかったからだ。
しかし、それでは教員はおろか、同年代の友達にすら
本来の自分をみせることは出来ないということに気付いた。

そこで僕は、今までゲーム専用だったもう一つの「顔」である、
「本郷隊長」をもっと大々的にアピールしてみることにした。
このキャラクターこそが、本来の自分そのものであると気付いたからだ。

この「本郷隊長作戦」は見事に当たった。
僕の「変な人度」はどんどん上がり、それと同時に本郷隊長と僕の合体に成功したように思えるようになった。

この成功のお陰で、僕は高校三年目の後半から卒業まで、
好きなことをやった。
いままでマジメにやっていた掃除や委員会をさぼったり、無断欠席やなか抜けといった
「やってみたかったこと」をドンドンやった。
これほど爽快なことはなかった。

これによって教員からの評価はみるみる下がった。
しかしそれは、生徒の本来の姿を３、４年一緒にいたのに見抜けなかった教員側の怠慢によるものだと感じた。
実際、今でもそう思っている。
これ以降、僕は教員たちから「裏切り者」と呼ばれるようになった。
でもそのとき僕は「教員は生徒を誘導するプロなのに、何故僕が彼らに道を作らなければならないんだ？」
と思っていた。
「人間というものは、良い所は見えなくても、悪いところはハッキリ見えるようにできているのか」
と、マジメちゃんを演じていたことに後悔した。
ここで僕はウルトラマンが絶対的な正義でないことを、心の底から理解した。

そして、自分の進むべき道「大学」に進学し、
落胆した。
「大学は自由なところだ。」「大学では好きなように勉強できる。」
という情報は、大人たちの勝手な妄想に過ぎないことを理解したからだ。
僕は経営学を勉強したかった。
しかし、大学で待っていたのは
「遊ぶ時間がたっぷりあるぬるま湯温泉」
だった。

時間がある＝自由
という考え方は自分の存在意義を理解しているからこそ言える事。
やる気のない学生に囲まれ、とりあえず大学に入ったという連中の価値観に
見事に押しつぶされた。
甘えという環境の中で、
高校で自分を取り戻しつつあった僕は、
再び「普通」を目指し、「本郷隊長」と分離した。

4年間も続く退屈な毎日、自分の特性を活かせない環境、
単位という束縛、作られたキャラクター。

正直なところ、耐えられるか分からない。

しかし今は、
僕を演じ、本郷係長に憧れながら、
とりあえず生きるしかないのかもしれない。

僕は、いつまでも「ボウヤ」でいたい。
腐った「一般人」と呼ばれる大人になるよりは
「ボウヤ」を守りたい。